話し上手になりたいなら、滑舌を考えてはいけない
「話し下手なのでアナウンサーのようにうまく話したいです。」
「ぼそぼそした話し方なので滑舌がよくなる方法を教えてください。」
あなたは、このお悩みを今パッと見て、どう感じられました?
私は職業柄、たまにこういった相談を受けるんです。
一般的に口べたや話し方の問題と滑舌は関係が深いと思われているみたいですし、話し上手の代名詞として必ずと言っていいほどアナウンサーがあげられる風潮がありますし……。
誤解を恐れずに書きます。
あなたがもし上の相談のように「キレイな話し方を学びとりたい」とお考えなら、本当の話し上手になるまでに、かなり遠回りをしてしまいそうです。
誰もが聴き取りやすいように、分かりやすく整った発音で話すことがアナウンサーという職業の基本。そのために日頃から多くの努力を重ねています。
伝え方の対象として、不特定多数や、ある程度の集団を想定しているからこそ、もれなく内容を届けることを優先した話し方を心がけるわけです。
想像してみてください。
天気予報を読むように、彼女や彼氏があなただけに愛をささやたとしたら……。
聞きやすく話すことと、共感を得ながら伝えることは、同じようでいて実際はかなり異質なものなんです。
「話しベタなのでなんとかしたい」は、とても深刻な悩みだと思います。
でもそこで一度考えていただきたいのです。
本当のあなたの悩みは「滑舌がよくなること」ですか? 「アナウンサーになりたい」ですか?
「人並みに会話に参加できること」を望んでいるだけではないでしょうか?
あるいは「人が自分の話に共感してくれること」や「人を引きつける魅力を持ちたい」を目指しているということではありませんか?
「話し方講座に行ったら発声と朗読するばかりだった。」
「ボイトレに行ったら歌い方はほとんど教えてくれなかった。」
「滑舌をきっちりやりたいのに、ピアノに合わせるばかりで困った。」
実はこれらはボイストレーニングに絡んだ失敗談としてよく聞こえてくることです。
残念ながら問題のある教え方をされている教室があるのは事実です。
一方で広告のメッセージなどを見て、そこへ行けば「必要なノウハウは全部教えてくれる。上手くなって当然」と思い込んでしまうこともあるのだと思います。
声の表現に関わる学びには「ボイストレーニング系」「コミュニケーション力改善系」「ボーカルスクール系」「ビジネススキル系」「心理学系」「演劇系」「アナウンサー・声優スクール系」があります。いくつかを組み合わせて教えるところもあるようですが、同じ教室でも講師の専門によって合う・合わないがあるかもしれません。
可能なかぎり、じっくりとあなたの問題を解決してもらえるところを探されてみるのはいかがでしょうか?
何かを学ぶ際に自分が求めているものが何なのかをきっちり整理しておくのは、とても大切なことです。
ほとんどの人は自分の能力を上げることを、何らかのノウハウを知ることで達成しよう、あるいは知識習得自体に依存しようと考えがちです。
でも本当は、求めている結果に直接つながらないノウハウを懸命に学んでも成果は出ませんし、時間やお金の無駄になるのです。
講師をやっている知り合いが何人かいます。
彼らが教える立場として口をそろえて言うのが「ノウハウだけを教えるのは罪。ますます混沌に突き落とす。」ということ。
私もそれの意見に賛同しています。
ところが彼らの話によると、知識を深める講座や能力開発の講座であるにもかかわらず、「高額を出して受講したのに仕事を世話しない(つながらない)のはどういうことだ」と後日になってクレームをつける受講生が増えているそうです。
ノウハウにしがみつく姿勢だと悩みの核心部分は何も改善されず、満足感も満たせません。そういった気持ちになっていくのは当然のことなのです。
あなたは、これから目指したい先を決めていますか?
